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コンタクトレンズをしていると眼が充血する(2)ソフト編

[2005.04.21]

さて、今回はソフトコンタクトレンズでの充血について考えてみます。
ハード系と異なり、ソフトコンタクトレンズで充血する方で、他に症状がない、という方はほとんどありません。乾燥感がある、ごろごろする、痒い、メヤニが出るなどの症状を伴います。すなわち何らかの病気を伴うと思っていただいて良いでしょう。逆に我々眼科専門医は、みなさんの主訴(おもに困っているからと医院を訪れるときの症状)から病気の見当をつけているのです。
ソフトコンタクトレンズに限らず、コンタクトレンズを装用して行く上で大敵なのが、ドライアイ(涙液減少症)とアレルギー性結膜炎の二つの合併症です。どちらも充血を伴う事が有りますが、ドライアイは乾燥感や異物感、アレルギー性結膜炎はかゆみ、粘っこく糸を引くようなめやにが特徴的です。これらは慢性的に起こるもので、急にひどくなる、ということは多くありません。急に充血して痛くなるのは、下図のような角膜潰瘍(右)や輪部フリクテン(左)という状態であることが考えらます。どちらも緊急を要するもので、すぐに眼科受診が必要です。

両方とも角膜にキズが付いた状態で、角膜潰瘍は中央に近く、フリクテンは角膜と結膜(くろめとしろめ)の境目の輪部で細菌感染をおこしてしまっています。無理してソフトレンズを使用した場合に起こりやすいと言えます。特に2週間交換型ソフトコンタクトレンズを3~4週間まで勝手に延ばして装用していることが大多数ですので、2週間と言われたらちゃんと2週間で交換して下さい。でないとこういう、文字通り「痛い目」に遭います。
もう一つ、ソフトコンタクトレンズの「怖い」所は、このように痛みが有る場合でも、レンズを外した方が痛みが強く、レンズを入れた方が痛みがましになることです。丁度ソフトコンタクトレンズが絆創膏のような効果をあげているわけです。だからといってレンズを装用し続けると、ソフトコンタクトレンズの下でもっと炎症が起こってしまい、もっと取り返しのつかない視力障害を残したりするので、絶対止めて下さい。
最後に、当科で最近見た中で一番ひどい角膜潰瘍を示します。ワンデーアキュビュー1枚を3日使い回ししていた男性で、一日コンタクトレンズをした後、外して適当なケースに水道水を入れて(消毒もなしに)浸けておき、翌日また装用して..を3日繰り返していました。急に眼が痛くなり見えなくなったとのことで昨年12月来院されました。初診時の矯正視力は0.06でした。

角膜さっか物と、ケースの底にたまった白色の澱(おり)の用な物質から、緑膿菌という強い毒性の細菌が検出され、それが原因の角膜潰瘍であることが判りました。たまたまその緑膿菌は、通常の点眼の抗生物質が効いたため、最終的には角膜の濁りは残ったものの、矯正0.8まで回復しました。でも、もし抗生剤が効かなかったら(実際、そういう症例は阪大でも良く紹介されてきます)、角膜移植が必要になるほどの混濁になり、実質上失明していたと言えるでしょう。自分の眼ですから、何をしても良いというわけではありません。こういうことは絶対止めてほしいものです。

 2015.6追記

このブログを書いた10年前に比べ、ワンデータイプのレンズが主流になった今は、別の問題が出てきています。最後の症例のように、ワンデータイプを多目的溶剤(2週間交換レンズをケアする消毒液)に漬け込み、数日使う方が増えつつあります。これも上記と同じようなトラブルを起こす例を経験しています。ワンデータイプを複数日使うのは絶対に止めてくださいね。間違った使い方をしてトラブルを起こし失明しても、誰も補償してくれません。

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