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CLユーザーの最後の拠り所 その3 乱視の人が老眼になったら

[2019.07.30]

乱視の人には昔はハードコンタクトレンズをするのが常識でした。しかしソフトコンタクトレンズが進歩し、乱視用使い捨てコンタクトレンズの性能が上がってきました。その上処方も簡単になってきており、今は乱視用使い捨てレンズを使う方がほとんどです。

しかし、乱視用使い捨てレンズをしていた人が老眼になってくると、それに対応した遠近両用の乱視ソフトレンズは日本では発売されていませんし、世界的に見てもごくわずかしか実用化されていません。光学的に難しいという理由のほかに、レンズを規定する変数が多すぎる(近視度数、乱視度数、乱視の方向(軸と言います)、遠近の度数差)ため、数百種類ものレンズが必要になり、それを使い捨てとして大量生産して揃えるのが非常に困難なためです。現在ワンデーアキュビュー乱視用に欠品が多数出て、当院でも困っているのですが、数百種類の乱視レンズをすべて制作して、世界中の需要予測をしてうまく生産調整するのは、世界トップメーカーであるジョンソン&ジョンソンでも難しいことが良くわかると思います。

 そのためいろんな工夫が必要になります。

「仕方ないから老眼鏡を上から掛けるわ」

と言っていただくのが一番簡単でかつ性能が良いのですが

「メガネをしたくないからコンタクトレンズをしているのに、なるべくコンタクトレンズで行けませんか?」

と言われると普通の眼科では困ってしまうと思います。

当院ではその場合に次の三つの方法を使います。それを左右眼別々に組み合わたりもしています.

1) 乱視レンズの度数を緩めて、遠くを犠牲にして近くを見せる方法

遠方視力は落ちるので、運転時など遠くを見る時には近視を追加するメガネが必要になります。初期老視の45-50歳までは何とかこれで行けるかもしれません。

2) 乱視矯正を諦めて遠近両用ソフトコンタクトレンズにしてしまう方法

乱視度数が-1.25D程度まで(乱視レンズの乱視部分が-0.75D程度まで)なら、何とか乱視なしでも近視のみのソフトレンズでの矯正が1.0ぎりぎりだと思います。その場合遠近両用ソフトコンタクトレンズを使用することも出来ると思います。しかし遠くも近くも遠近両用によるぼやけがあり、その上乱視未矯正によるダブりが加わるので厳しいかもしれません。

3) 乱視レンズで左右の度数差を付け、片眼を遠くに、そしてもう片眼を近くに見せる方法

いわゆる「モノビジョン処方」と言われるやり方で、効き眼(主に遠くを見るのに使っている眼、優位眼とも言います)を遠くに、そうでない眼を近くに合わせます。私自身もスポーツやプールに行くとき、またコンタクトレンズ学会では(笑)コンタクトレンズをするのですが、その場合はこれでやっています。モノビジョンは出来る人が7割、どうしても出来ずに頭痛や吐き気が出る人が3割位居るので、実際にやっていただかないと判りません。また普通は効き目を遠くに合わせるのですが、逆に効き目を近くに合わせた方が良い方、例えばずっとVDTを見ている事務職の方なども居られるので、その人その人によってやり方はトライアンドエラーになると思います。私はそう思いって最初は効き目を近くにしてみたのですが、遠くが見えなくてイライラしてやっぱり効き目遠くに変えました。

 

当院では昔から通っておられる方が多く、私も一緒に歳を取ってきたので、このような方が沢山おられます。トライアンドエラーですがほとんど私が指示しなくても検査員が色々工夫してくれています。どうしても満足が得られないこともありますので100%とは言いませんが、困っているのでしたらぜひ一度ご来院下さい。時間がかかりますので土曜日はとてもそれだけの時間が取れません。平日の午後3時から4時ごろがベストだと思います。水曜日午後はお休みですのでご注意ください。

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