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糖尿病網膜症 言い訳はあかんよ!

[2009.02.17]
糖尿病網膜症 言い訳はあかんよ!
糖尿病網膜症は糖尿病の三大合併症(腎症、神経症)の1つです。
糖尿網のため、網膜(眼底)の毛細血管はもろくなり、広範囲に詰まってしまったり、かえって破綻したりして、出血や白斑がでてきます。出血のある網膜は腫れ上がり機能が落ち、網膜中心(黄斑)にかかると視力低下を起こします。
その後、毛細血管が広範囲に詰まって酸素不足をおこすと、網膜剥離をおこしたり、治療困難な緑内障が起こり、失明の危険に直面することになります。現代の失明原因の上位です。
では、医療技術の向上にもかかわらず失明する人がいるのでしょうか?
その理由の1つにいつも患者さんの”いいわけ”があります。
★いいわけ その1
えっ糖尿病って目に関係あんの?知らんかったわ!
糖尿病は、いったん発症すると永遠のお付き合いです。もちろん目だけではありません。多くの方が動脈硬化・高血圧症など成人病を合併します。脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気のリスクも高くなりますよね。糖尿病についてよく知ることがまず治療の第一歩です。
★いいわけ その2
内科で診てもらってるし、、、人間ドックで眼底写真とってたし、、
糖尿病網膜症の精密眼底検査は、瞳孔を広げる検査用の目薬をして検査をしないと十分とはいえません。また、状態に応じて写真のような蛍光色素を用いた眼底検査も必要となります。検査当日は散瞳薬のため半日程度ぼんやりしますので、車やバイクでの通院はご遠慮ください。
★いいわけ その3
忙しいねん そんなひまあれへん 時間も金ももったいないわ
糖尿病は、働き盛りの人に起こる場合が多いです。みんな時間を作って検診を受けていますよ。とことん悪くなってからでは治療期間も長くかかり、また視力の完全な回復が難しい場合が多いのです。
失ってわかる大切さ! 自分の目を大切にして下さいね。
★いいわけ その4
よく見えてんねんけど なんで検診せなあかんの?
糖尿病網膜症の程度は、4段階に分かれます。
①非糖尿病網膜症;糖尿病はあるが、眼科的な異常をまったく認めない状態
②単純糖尿病網膜症(図1、図2):眼底に小さな出血斑や白斑がでてきた状態
③前増殖糖尿病網膜症:網膜血管の走行異常、虚血性変化があらわれた状態、これ以後、レーザー治療が必要
④増殖糖尿病網膜症(図4,5):新生血管、増殖膜形成をおこし緑内障や網膜はく離をおこしうる(おこしている)状態
視力低下の自覚を感じるのは、増殖期以降のことが多く視力が良好であったとしても、眼底に異常を起こしているケースが多くあります。
図1

視力は1.2でよく見えています。しかし、すでに網膜表層に点状の出血が現れています。
図2

図1と同じような状態ですが、特殊な蛍光色素を使った眼底検査ではすでに数箇所の血管異常、蛍光色素の漏出があります。この状態でも視力低下の自覚はありません。さらに症状が進行すればゆがんで見えるなどの症状が出現します。
図3

以前に他院でレーザー治療を受けていましたが、その後視力低下の自覚症状もなく自己判断で勝手に通院をやめてしまいました。周辺部に虚血性変化が強く、新生血管の出現と増殖膜形成がおこり、いつ視力が落ちてもおかしくない状態です。
図4

とうとう新生血管から大出血(硝子体出血)を起こしてしまいました。下半分は硝子体出血のため詳細な診察も困難な状態です。自覚的には上半分が見えなくなりました、さらに上半分も増殖膜形成による牽引性網膜はく離をおこしています。この状態で視力0.04。かなり厳しいです。
糖尿病網膜症の眼科検診は、目の状態と内科的な血糖コントロールの状態で、担当医が検診の間隔を決めます。
また、いったん眼底出血が現れると、内科的にコントロールが良好であったとしても、目だけ悪化することもあります。
自己判断は禁物です、かかりつけの眼科医を持ち、しっかりと診察をうけ良好な視力を維持できるようにしましょう。
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