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コンタクトレンズはこすり洗いを!

[2005.04.28]
私は、コンタクトレンズを使用している患者様には、トラブルがなくてもどういうケア(洗浄・消毒・保存)をしているかを聞く事にしています。驚くべき事は、ハード系、ソフト系に関わらず、かなりの人がケア方法を間違っていることです。
まず第一の間違いは、こすり洗いをしていない事です。ハードレンズは、消毒は必要有りませんが、「つけおき洗い」と称して、浸けておくだけで洗浄・消毒が出来るとうたっているケア用品が多数有ります。これではちゃんと汚れが落ちません。私は次のようなたとえ話をします。「コンタクトレンズが汚れた状態というのは、丁度目玉焼きを食べた後の汚れたお皿のようなものです。脂汚れと黄身のこびりついたような蛋白の汚れが付いています。それを、洗面器の中に水を張って、その中にチューっと中性洗剤を入れて石鹸水を作り、そのなかにトプッと浸けただけなのと、洗剤をスポンジに取って、お皿をごしごしこするのと、汚れがどっちが落ちるか、明らかですよね。」こすり洗いが必要なんです。つけおき洗いではこびりついた蛋白汚れは取れにくく、いくら蛋白除去をしても、物理的に除去するのには勝てません。
ソフトレンズも同様で、こすり洗いが必要です。特に現在主流であるMPS(Multi-Purpose Solution:一液で洗浄・消毒・保存を行う)ではこすり洗いをするのとしないので、細菌の減少効果が1000倍違うと言われています。MPSでこすり洗いをしないと、消毒しているとは言えません。ぜひこすり洗いをして下さい。過酸化水素やヨード消毒等、他のタイプの消毒剤はそこまでシビアではありませんが、こすり洗いによる物理的除去がすぐれていることは確かなので、ある程度こすり洗いを併用するとより安全だと考えています。
こすり洗いをしていると言っても、夜レンズを外した時はそのまま保存液に漬け込み、朝レンズを浸ける前にこすり洗いをしている方もおられます。これもあまり奨められません。さっきの例えで言えば、「お皿を汚れたまま食器棚になおして、朝また使う前に洗いますか?汚れがこびりついてしまいますよね。そうではなく、汚れはこすり洗いで落として、朝にはきれいな状態で使って下さい」ということになります。
第二の間違いは、レンズは洗っていても、ケースや保存液までは洗ったり交換していないことが多い事でしょう。ハードレンズの装用者にケースを見せてもらうと、煮染めたようにこってりと汚れがついているのに、平気で使っておられる方がおられてびっくりしてしまいます。このようなレンズケースには「バイオフィルム」と言われる細菌とタンパク質、粘液が複合したこってりとした汚れが付いていて、その中でぬくぬくと細菌が繁殖しています。時々でよいので、ちゃんと洗剤で洗って乾かして(乾かすのがバイオフィルムや細菌を撲滅するこつです)、細菌がつかない様にしてください。それから、レンズを新作する時は、ケースも新しく替えて下さい。
ソフトレンズでも同様です。特にMPS(オプティフリー、レニュー、コンプリート等)の場合には、消毒力はそれほど強くないので、レンズを出した後そのまま古い液を入れたままでは、内面で細菌が増殖してしまいます。レンズを目に入れた後は、MPSを捨てて水道水で良く洗い、乾燥させてください。ソフトレンズのケースも6~12月に一度交換を奨めます。
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