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コンタクトレンズの大敵-2 ドライアイ

[2005.07.28]

今回はアレルギー性結膜炎と並んでコンタクトレンズ装用を中止する原因となりやすいドライアイ(涙液減少症)についてお話ししましょう。
ドライアイは、角膜や結膜を覆っている涙が乾いて、それにより角膜や結膜の表面に細かい傷が付き、不快感やごろごろ感がずっと続く病気です。瞬きで最後まで閉じない角膜の下方に細かい傷が出来ます。

重症なものでは、びまん性ではなく、下のように点状の傷が集まったような形になります。

さて、このようなドライアイは、大きく分けて2通りに分かれます。
1)分泌減少型ドライアイ
上まぶたの外側に主涙腺という涙を分泌している分泌腺がありますが、そこからの涙の産生が減少してくることによって起こります。膠原病やシェーグレン症候群というような、主涙腺が炎症を起こすによって起こるものが代表的です。そのほかに加齢によっても涙液分泌減少が起こります。
2)蒸発亢進型ドライアイ
涙の蒸発が増えることによって起こるドライアイで、代表的なのはVDT作業(コンピューター作業)時に瞬きが減少したり、コンタクトレンズ装用によって涙液の蒸発が亢進することによって起こります。
たいていのドライアイ患者様は、どちらの要因も持っており、主にどちらの要因が大きいかだけの差であることが多いと考えています。そのほかにドライアイ症状を起こすために関連した病気となるものとしては、初めの方のブログで紹介した「マイボーム腺機能不全」や、シロメの上の結膜がたるむためにその中のしわに涙が取られて起こる「結膜弛緩症」などがあります。結膜弛緩症の写真を下に示しますが、角膜の下にしわが染色されているのが判ります。

この中で特にコンタクトレンズと関係するのは蒸発亢進型ドライアイです。コンタクトレンズを装用すると、眼からの涙液の蒸発が増える事が判っており、だいたい1.5倍程度になると言われています。また、眼鏡装用で涙液の蒸発は減少し、70%程度に減ると言われます。コンタクトレンズの中でも特に現在主流の使い捨てソフトコンタクトレンズは乾燥感が強いと言われているのですが、その原因はよくわかっていません。乾燥感が強いだけなのか、本当に乾燥しているかがよくわからないからなのです。ソフトコンタクトレンズの装用者でドライアイを合併すると、下のように角膜下方に逆への字型の傷が出来ます。ちょうど昔のピースマーク(英語ではsmile markという)の口のようになるので、スマイルマークパターンと呼ばれます。

ハードコンタクトレンズの方も乾燥感を訴えることがありますが、それよりも異物感や充血を訴える(「ハードコンタクトレンズで目が充血する」ブログ参照)ことが多いようです。
使い捨てソフトコンタクトレンズは、私の経験上、含水率が高い方が、そして厚みが薄い方が乾燥感は少ないようです。最近出たシリコーンハイドロゲルレンズ(O2オプティクス)は含水率が低いため、乾燥感という意味ではかなり有利です。また、最新のシリコーンハイドロゲルレンズである、アキュビューアドバンスやアキュビューオアシスは、さらに乾燥感が少なく、特にアキュビューオアシスでは、入れた瞬間に「これ、楽です!軽い!」といわれるほど装用感も良いようです。一度お試しください。

 

2015.6追記:

このブログを書いた10年前に比べ、シリコーンハイドロゲルレンズが主流となり、ソフトレンズの乾燥感に関してはかなり改善されるようになってきました。一日使い捨てレンズにもワンデーアキュビュートゥルーアイ、デイリーズトータルワンという2種類が登場しています。また、乾燥だけではなく、瞼の裏との摩擦に注目が集まり、摩擦の少ない表面のぬるぬるしたレンズが登場しています。使い捨てレンズはまだまだ改良される可能性はありますので、ご注目ください。

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