メニュー

CLユーザーの最後の拠り所 その2 ハードレンズの曇り

[2019.07.11]

当院のように60年もコンタクトレンズを処方していると、30-40年にわたってハードレンズを使用している方がおられます。その中には

「ずっと調子よく使っていたのだが、急にハードコンタクトレンズが曇るようになり、何度も洗ってもどうしようもない。」という方がおられます。我々は外して洗ってみることを「洗い替え」と言うのですが、何度も洗い替えをしてもすぐ曇るのです。このような場合、ハードレンズは諦めて一日使い捨てソフトコンタクトレンズにするしかないと思っています。

 

ハードコンタクトレンズの曇りは一番解決の難しいクレームだと思います。

原因がコンタクトレンズに対するアレルギーの場合には比較的簡単に対応が出来ます。レンズを装用してしばらく(30分から3時間後)すると曇りだします。その場合はレンズに白い眼脂のようなタンパク質が点々と付き、眼瞼をひっくり返すと瞼の裏がぶつぶつになる乳頭増殖が見られます。これはアレルギー性結膜炎の点眼治療を行うと同時に、一日使い捨てソフトコンタクトレンズに変更しなくてはなりません。コンタクトレンズに蓄積した毒性物質、もしくはコンタクトレンズが物理的にこすっているから起こっているためです。

もう一つの曇りはレンズを入れた直後に起こります。レンズを外すと表面が濡れているべきなのが、点々と水を弾いています。いくらこすり洗いをしても、強力な洗浄剤を使用しても、その時はきれいになるのですが、眼に入れるとすぐくもってぼやけます。これはドライアイも関与すると思われるのですが、水弾きをしてしまう理由は別のところにありそうです。

一般にはこのような場合、ハードレンズの周辺(ベベルと言います)の浮きを小さく加工し、レンズ表面に分布する涙液を増やすのが良いとされています。しかしほとんどのハードレンズは修正することは考えられておらず、ベベルの浮きが元から小さいメーカー(たとえばメニコン)に変えるしかありません。それでも解決しないことが多いのです。

 

ここからはあくまで私の推論なのですが、当院でもしぼっているマイボーム腺、その脂の性質が加齢により急に変化し、ハードレンズに沈着して水弾きしやすくなるのではと考えています。私はこのような場合次のような話をしています。

「今まで色々トライしたけど、ハードレンズのままで解決することは私には出来ないです。昔『コンタクトレンズをかんがえる会』という好き者の会がありましてね、今はコンタクトレンズ学会の理事になっているような先生方が、一晩色々議論し合ってたんですよ。そこにこのレンズの曇りの話を出したことがあって、

『何とかハードレンズのままで曇らないように出来ませんかね?ベベル修正以外で』

と聞いたら、他の先生から

『先生がやっても駄目なものは、だれがやっても駄目だよ』

と言われてしまいました。それほど難しいんですよ。申し訳ありませんが使い捨てのソフトレンズに変えていただけませんか?それが無理なら眼鏡しかないですが。」

 

一日使い捨てレンズの中でも酸素透過性が高くて乾きにくい、シリコーンハイドロゲルレンズを使いたいのですが、このように曇る方はシリコーンレンズだと脂が沈着してやはり曇る場合があります。その場合には従来の素材(ハイドロゲルと言います)で我慢していただくことになります。転換は難しいと言われる方も多いのですが、当院で一から始動させていただくと、何とか変えていただけて幸せになる方が多いと思います。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME