たかがメバチコ、されどメバチコ(ものもらい)
皆さん、メバチコって知ってますよね?
というと、関西の人なら、「あ、知ってる知ってる」と言ってくれますし、首都圏出身の方なら、「何ですか、それ?」と言われます。標準語では「ものもらい」ですね。まぶたのふちにできるしこりです。下のページにランキングがありますが、なかなかおもしろいですね。熊本出身の患者様からは「おひめさんって言うんですよ。」といわれてびっくりしたことがありますが、これにもそう出てますね。
「ものもらい」呼び名地域別ランキング
これには2種類あります。まぶたの縁に「マイボーム腺」という涙の上の脂を分泌する分泌腺があります。以前のブログでその内容を圧出するお話をしました。その中で細菌感染を起こし化膿したものが「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」です。また、その中の脂質がたまり、それを作っているカプセルごと炎症を起こしたものが、「炎性霰粒腫(えんせいさんりゅうしゅ)」です。麦粒腫は、大きくなっても針で突いて膿を出し、その後抗生物質の内服や点眼をすれば治るので、それほど問題はありません。問題は霰粒腫の方です。
当院には「他院でメバチコと言われて抗生物質の飲み薬や目薬をもらったが、しこりが残って治らない」と言って来院される方が多数有ります。これは、霰粒腫の炎症は消えたものの、カプセルと内容の脂(たいていゼリー状のべたべたしたもの+粉状の結晶があります)が残存してしまっているためです。この状態になるとなかなか無くなりません。子供さんでは自然に吸収されて治癒することもありますが、大人ではイクラ大の大きさ以上では残ることが多いと思います。
このようなしこりが残ると、切開して摘出するしか方法がありません。私は、摘出手術をした方がよい場合は以下の3つに決めています。
1)どうしようもなく巨大で邪魔な場合
2)結膜面(内側)に突出して、ポリープ状となり、ごろごろする場合
3)しこりが外から判り、美容的に「かっこわるい」場合
場所や大きさによって、結膜面(内側)から切開してキズを残さずにできる場合と、皮膚面(外側)から切開して縫合が必要になり、キズが残る場合があります。又、麻酔の注射は結構痛い(歯医者さんの麻酔の注射をまぶたに直接打つイメージでいいと思います)ですし、内出血が結構でて目の回りに回って、一週間くらいアイシャドウのように腫れることもありますので、あまり「手術は簡単だ」にと考えてはいただかない方が良いと思います。
よくある疾患ですが、しっかり治したり、手術するのは結構大変です。「たかがめばちこ、されどめばちこ」といったところでしょうか。